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はじめに

 2007年春、私は無事に大学を卒業して、縁あって地元に帰ってくることになりました。私がこのブログでとりあげている地域は私の父の生まれた場所、つまり父方の祖父母や親戚たち、ご先祖様がおられる地域です。父の生まれた家は同じ町内なのに、山深く若い世代は便利のよい南のほうに移住し(ウチの家も然りです)もう歳のいかれた方が夫婦で暮らしている家も少なくはないです。私がそこでのことを書きたいと強く願ったのは私にはこの土地に深い「愛着」があり、しなければならないことがあるからです。


 私が高校生だったころ、いつからか「こんな田舎で暮らすよりは、街で暮らしたいなぁ」と思うようになりました。いくなら、ウチ歴史が好きやし、京都とかに住めたら暇なときにお寺とか巡れるなぁと単純に思ってました。そして、大学受験のとき、「ウチは京都にいったる!」と思い、ひたすら京都にある大学を受けてました。そして、ある大学に合格して、両親も「そこしか合格してないならしょうがない」と半ば諦めで私を京都にやってくれました。

 京都での学生生活が始まった私は、京都のことについていろいろ知りたくて、図書館や書店で京都に関する本を読み漁っては時間を作って、寺や史跡めぐるというような時間を過ごしていました。そしてとある本屋さんで「京都の川」に関する本を見つけてから大きく変わりだしました。それまで主に京都の歴史やお寺の本を読んでいたのですが、この京都の川に関する本は目からうろこと言うか、ただの「川」や「今は見えなくなっている川」にもこんな歴史があるんだと衝撃を受けました。その本を読んでから「もっと京都の川について知りたい」と思うようになりました。そんなあるとき、私のゼミの先生から「私の知り合いたちが、京都で川の活動をしている市民団体があるからちょっといってみたら」と誘われてたのがきっかけで、いろんな川をあるいたり、川ってなんなんやろうって考える活動に参加しました。川を通して、いろんな方と出会うことができ、私ははたして何ができるんやろうって思うようになりました。特に地域で頑張って活動されている方はその地元の地域の歴史や暮らしにとても詳しく、信念をもって活動されています。わたし、今まで京都を知りたいを強く思っていたけど、自分のことに置き換えると「ほんまにうちどれだけ地元このこと知っとるんやろう」と思うようになりました。

 さらに滋賀県でもフィールドワークをやっており、そこで出会った地域のパワーというものに圧倒されました。ホントに地域のことをかんがえているから地域のためにがんばれるということをいいろんな方から伺いました。しかし、そこでの悩みは若い人が少なくなってきているということでした。せっかく昔からの豊かな生活の知恵や風景が残っていても若い人がだんだん少なくなっている。そこで感じたのは、この地域に昔から伝わってきたことがいつか消えてしまうのではないかという現実。そこで思い出したのも自分の足元にある地元のことでした。

 ある年末、地元に帰って祖父母の家で正月の準備をしているときでした。祖母は「床の間につくるお包み、こしらえて(作って)おくれー」といって半紙やもちや干し柿や白昆布を持ってきました。私は最初は何を祖母が作っているのか分かりませんでしたが、見よう見まねで作っているとあとで、神棚の神様や水神さんにお供えするものだということが分かりました。祖父母とは一緒には暮らしてないから、私は知らなかったけど、こういうこと今のうちに学んどかんとあかんともうようになりました。そのあとに、もしここで祖父母から教わっていなかったら、私はこれを知る機会はなかったんだろうと思いました。そして、その気持ちが、今のうちに「学ばなければ」と云う思いに変化していきました。

 祖父母から学ぶことはたくさんあります。正月をはじめ四季の季節の行事、祖母の作るご飯、農作物のもうり(ていれ)の仕方、もちろん私の家の歴史、そしてその地域の言い伝え・・・。ここでは季節の行事や料理、言い伝えを中心に書き進めていきたいとおもいます。前置きが長くなりましたが。
by deity_river | 2007-06-12 12:56 | はじめに

地元の暮らしの様子や日々思ったことを更新中。なくしたくないものがたくさんあるから。

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